午前三時、あの部屋を出て、国道沿い。
凍るような夜の帳をどうしようもなく走る。
もう命の重さも忘れてしまった。
電ノコの機械音が耳にこびり付いて離れない。
そうだ、朝焼けを待って港へ出よう。
そこで、フェリーか何かに乗って、身を擲てばいい。
痛い、アスファルトに散らばったガラスで足を切った。
痛い、血が止まらない。止まるな、痛くない。
向こうで微かにコンビニの光が見える。ピッチを上げる。
光まであと少し。手をのばしてみる。
どこかでコーンポタージュの匂いがした。
ふと、あのセダンが視界を遮った。
Ｙはわたしの髪をつかみ、後部座席へ引きずり込む。
悲鳴は爆音にかき消される。
午前三時十分、わたしはあの部屋に戻る。
もうダメかもしれない。
ー歪ハイツ。
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