大蔵流狂言山本東次郎家は徳川幕府の式楽の伝統を継承する大蔵流狂言の家柄。
初世山本東次郎則正(隠居名・東1836(天保7)-1902(明治35))に発する。
三世東次郎は「乱れて盛んになるよりも、むしろ堅く守って滅びよ」とその高い志を説き、武家式楽にふさわしい品格ある剛直な芸風を目指した。
現在、長男の四世東次郎(1937(昭和12)-)、三男則俊(1942(昭和17-)、および その子息たち、泰太郎、則孝、則重、則秀、凜太郎が杉並能楽堂を拠点に公演、普及活動に努めている。
大蔵流狂言山本東次郎家は徳川幕府の式楽の伝統を継承する大蔵流狂言の家柄。
初世山本東次郎則正(隠居名・東1836(天保7)-1902(明治35))に発する。
三世東次郎は「乱れて盛んになるよりも、むしろ堅く守って滅びよ」とその高い志を説き、武家式楽にふさわしい品格ある剛直な芸風を目指した。
現在、長男の四世東次郎(1937(昭和12)-)、三男則俊(1942(昭和17-)、および その子息たち、泰太郎、則孝、則重、則秀、凜太郎が杉並能楽堂を拠点に公演、普及活動に努めている。
狂言面づくし十番 其の三:「神鳴」「腰祈」
合同会社大蔵流狂言山本事務所
狂言面づくし十番 其の四:「仏師」「首引」
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狂言面づくし十番 其の五:「瓜盗人」「蟹山伏」
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狂言面づくし十番 其の一:「福の神」「止動方角」
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狂言面づくし十番 其の二:「禰宜山伏」「清水」
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その他
『神鳴』都には腕の良い医師がたくさんいて商売にならないので、東国に出稼ぎに行くことにした医師、その途中、急に天候が変わって、稲光と共に雷鳴が轟くと、目の前に神鳴が落ちてきた。調子に乗ってつい雲間を踏み外してしまった神鳴は、腰を痛めて動くことができない。目の前に震えている医師に治療をするよう迫る。腕に自信はないが、懸命に針治療を行った、その甲斐あって神鳴は無事に完治、すかさず治療費を請求する医師。持ち合わせのない神鳴は、その代わりに何でも願いを叶えてやろうと約束する。自分の能力に確信が持てない情けない医師だったが、必死になって神鳴の治療をやり遂げ、大きく変貌する。神鳴に申し出た、その意外な願いとは?神鳴の役に使う面は「神鳴」、鬼面の一種であるが、独特のユーモラスな表情が他にはない大きな特徴である。額に浮き出た太い血管によって、高血圧の持病があることがわかる。
『腰祈』大峯・葛城で修行を終え、故郷の羽黒山へ帰る途中、都に住む祖父のところに立ち寄った山伏、ところがあまり長い間会わずにいたので、老人は山伏が自分の孫だと認識することができない。百歳を超えた祖父にとって山伏は今も小さな子どもの頃のままなのである。山伏は祖父の腰が曲がったままでは気の毒だから、治してあげましょうと、修行の成果を見せようと祈祷を始めるが・・・。大峯山・葛城山は修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が修行を始めた地で、以来、修験道にとって最も重要な信仰の拠点、ここでの修行を終えて一人前の山伏として認められたことになる。祖父の役に使われる面は「祖父(おおじ)」であるが、穏やかな顔、意固地な顔、強情な顔、とぼけた顔等、一つ一つの面に非常にさまざまな表情がある。老いをどう捉えるのか、面を打つ人の人生観がはっきり表れる面である。
山本東次郎(人間国宝)/山本則俊/山本泰太郎/山本則孝/山本則秀/山本凜太郎/若松隆
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その他
『仏師』信仰心篤い片田舎の男は自分の家にお堂を建てるが、そこに安置する仏像がないので、仏師に作ってもらおうと都へやって来るが、肝心の仏師がどこにいるのか、わからない。仕方なく、物売りのように「仏師はいませんか」と呼んで歩く姿に目を付けたすっぱ(詐欺師)は、自分こそ、探している仏師だと名乗り出る。大勢の弟子たちに分担作業をさせて部分品を作り、自分はそれらを合わせて完成させればいいので、明日の今頃までにはできると約束したすっぱは、自ら仏像になりすまし、代金をだまし取ろうと企てる。ところが依頼人は意外にも好みがうるさく、なかなか仏像が気に入らない。あちらを直せ、こちらを直せと次々に注文を付け、すっぱは散々に振り回される。詐欺師が仏像に化ける時にかけるのは面「乙御前」、柔和な顔立ちの若い娘の顔であるが、神仏の役にも使われる。この曲では小道具として用いられるのが特徴。
『首引』西国から独り、都へ帰る途中の若武者はその昔、剛勇で鳴らした源為朝のゆかりの者。ところが播磨の印南野を通りかかると突然、恐ろしい鬼が現れ、捕まってしまう。若武者の美青年ぶりに目を留めた鬼は、せっかくなので娘の食い初めにさせようと思いつく。あどけない姫鬼は若武者の命を助けてほしいと頼むが、親鬼は聞き入れない。若武者はおとなしく餌食になるわけにはいかないと、何か勝負をして負けたなら潔く喰われましょうと食い下がる。それに応じた親鬼は嫌がる姫鬼をなだめて、腕押し(腕相撲)、すね押し(腕相撲のすね版)と勝負をさせるが、なかなか決着がつかず、首引(綱引きのように、長い紐を首に掛けて引き合い、力の強さを競うもの)をすることになるが、どうしても娘を勝たせたい親鬼は眷属(配下の者)たちを呼び出して姫に加勢させる。親鬼の役に使われる面は「武悪」(今回は赤鶴作の「小豆武悪」)、眷属たちがかけるのも「武悪」で、同じ「武悪」でも色、形、さまざまあるのを一度に見ることができる。姫鬼には「乙御前」が使われる。
山本東次郎(人間国宝)/山本則俊/山本泰太郎/山本則孝/山本則重/山本則秀/山本凜太郎/若松隆/山本修三郎/寺本雅一
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『瓜盗人』通りがかりの畑に見事な瓜が実っているのを見つけた男、出来心で盗んでしまい、自分が作ったと言って人にあげたところ、もっと欲しいとねだられ、再び盗みに行く羽目に。一方、収穫を楽しみにしていた畑の主は瓜を盗まれたことに気付き、泥棒よけに案山子を作るがまったく効果がない。その上、畑をめちゃくちゃにされて激怒、自ら案山子に扮して、盗人がやって来るのを待ち構える。前夜は案山子に驚いた男であったが、その正体を知れば怖くはない。まさか畑の主が化けているとは知らず、周囲に人影がないのを幸い、案山子相手に、村の祭礼に演じる出し物・鬼が罪人を責め立てる様子の稽古を始める。案山子の役に使われる面は「嘘吹(うそふき)」で、口笛を吹く、という意味がある。動植物の精の役に使われることが多く、中でも尖った口の先に細長い棒状に巻いた和紙を付けて蚊の精に扮した『蚊相撲』が有名であるが、この案山子のように小道具として用いることもある。
『蟹山伏』大峯、葛城で修行を終え、故郷の羽黒山に帰る途中の山伏と供の強力は、たいへんな難行苦行を重ねたお蔭で人間を超える能力を得たと意気揚々、あたかも不動明王にでもなったようにおごり高ぶっている。ところが、大きな沢に出たあたりで急に天気が怪しくなり、奇怪な生き物が現れると、怖くなって右往左往、おっかなびっくり声を掛けてみたところ、どうやら蟹の精のようであった。蟹の精は傲慢な二人を戒めるために現れたのだと言う。怒った強力は山伏が止めるのも聞かず、金剛杖で打ち据えようとするが、逆に耳をはさみで挟まれ、散々な目に。山伏は蟹の精を強力から引き離そうと懸命に祈り始めるが、術が効く気配は一向にない。大峯山、葛城山は修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が修行を始めた地で、以来、修験道にとって最も重要な信仰の拠点である。蟹の精に使われる面は「賢徳(けんとく)」で、人でもなく動物でもない不思議な造形である。馬、牛、犬などの動物や動植物の精の役に使われ、その際、黒頭(くろがしら・黒髪のぼさぼさした大きな鬘)、黒垂(くろたれ・ストレートの黒い長髪の鬘)を合わせて使う。
狂言:山本東次郎(人間国宝)・山本泰太郎・山本則孝・山本凜太郎/笛:藤田貴寛
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『福の神』 毎年、大晦日の夜、誘い合って福の神へ参詣する信心深い二人の男、そのお蔭でだんだん裕福になっていくことを喜び合う。「福は内へ、鬼は外へ」と豆を蒔いているところに、高らかな笑い声とともに福の神が現れた。二人の篤い信仰心を褒め、ねだった酒をなみなみと注いでもらって飲み干して、上機嫌の福の神は、幸福になる秘訣を伝授する。福の神のいう幸せとは、金銀財宝で豊かになることではなく、心の持ちようが大事ということ、朝は早起きして働き、人には慈悲の心でもてなし、夫婦仲良く暮らし、それから福の神にたくさん酒を飲ませてくれるなら、きっと幸せになるだろうと約束する。シテ・福の神の役に使われる面は「福の神」で、酒に酔って上気したようなほのかな朱色で、額に神の印である宝珠の形が刻まれている。
『止動方角』 世間では茶の湯が大流行、茶の優劣を競う集まりに参加することになった主人は、伯父のところへ行って上等の茶と太刀、馬を借りてくるよう、太郎冠者に言い付ける。気前の良い伯父は快く貸してくれるが、最近、馬に悪い癖がついて、背後で咳をすると瞬く間に駆け出してしまうので気を付けるよう注意し、万一の時には馬を静める呪文を教えてくれた。たった一人で大荷物を抱えて戻る太郎冠者を気の短い主人は待つことができない。途中までやって来ると、帰りの遅いことを叱りつけ、さっさと馬に跨がり、太郎冠者を罵る。悔しい太郎冠者は悪戯を思いつき、馬の背後にまわって大きな咳をすると、突然、馬が駆け出し、主人は振り落とされる。太郎冠者は急いで呪文を唱えて馬を静めるが、主人が乗ると再び同じことが・・。主人はやむなく、自分の代わりに太郎冠者に馬に乗るよう、言い付ける。馬の役に使われる面は「賢徳(けんとく)」で、人でもなく動物でもない不思議な造形である。馬の他に牛や犬、蟹の精などの役に用いられ、その際、黒頭(くろがしら・黒髪のぼさぼさした大きな鬘)や黒垂(くろたれ・ストレートの黒い長髪の鬘)と合わせて使う。
山本東次郎(人間国宝)/山本則俊/山本泰太郎/山本則孝/山本則重/山本則秀/若松隆
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『禰宜山伏』後援者まわりをしている伊勢の禰宜(神官)と、大峯・葛城で修行を終えて故郷の羽黒山へ帰る途中の山伏が往来の茶屋の店先で出会った。横暴な山伏は自分の振る舞いに口を挟む禰宜が気に障り、重い肩箱(経文や仏具を入れ、肩に担げるよう棒をつけた箱)を宿まで持って行くよう脅す。仲裁に入った茶屋はそれぞれの言い分を聞いた上、どちらも自慢にしている祈祷で勝負をして、負けた方が荷物持ちになったらどうかと提案する。茶屋が持ち出した大黒天に向かい、懸命に祈りを捧げる二人、その勝敗の行方は?この曲の禰宜は伊勢神宮から派遣され、寄付金を集めて回る営業マンである。大峯山、葛城山は修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が修行を始めた地で、以来、修験道にとって最も重要な信仰の拠点、ここで修行をしたことで山伏として箔を付けたことになる。大黒天に使われる面は「大黒」、もとはインドの戦闘の神、仏教では仏・法・僧の三宝の守護神となり、日本では最澄が比叡山に祀ったのが始まりと言われ、大国主命とも習合されて、人々に富と幸福をもたらす七福神の一つとなった。
『清水』世間で大流行の茶の湯の会を自分も開催しようと思った主人、「茶は水が肝心」というので、良い水を汲みに野中の清水へ行くよう、太郎冠者に命じる。「午後四時以降に清水に行くと鬼が出るという噂です」と太郎冠者は渋るが、主人は耳を貸さず、大事な桶を手渡す。一度だけなら構わないが、茶の湯の会のたびに水を汲みに行かされてはかなわないと思った太郎冠者は、清水に恐ろしい鬼が現れ、命からがら逃げ帰ったと嘘をつく。太郎冠者が放り出してきた桶惜しさに自ら清水に向かう主人、嘘が発覚しては困ると思った太郎冠者は先回りして、祭礼に使う鬼の面をかけて飛び出すと、主人を散々脅した上、太郎冠者の待遇を良くするよう約束させる。太郎冠者が鬼に化ける際に使う面は「鬼」(または「武悪」を使う。)面の大切さは能と変わりないが、狂言ではこれを小道具として用いることもある。
山本東次郎(人間国宝)/山本則俊/山本則重/山本則秀/山本凜太郎/若松隆
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