3本立てオムニバス公演
『罪だったり罰だったり』
数年前に手術したはずの胃がんが転移したかもしれないという診断を受けた英雄は、自身が経営する居酒屋で同郷の男、中山と再会する。中山はかつて英雄の同級生を殺した容疑で逮捕されたが裁判で無罪になった男だった。人生の最後に「正しいことを」したいと考えていた英雄は、中山を殺害する計画を練り始める。
『Who are you? Why are you here?』
ロンドンに住む大学生、ズハルは付き合いで参加した集まりのおかげで、政府からテロリストの容疑をかけられる。一方、ドキュメンタリー作家になりたいという夢を追いつつ埼玉の老人ホームで働く北川は、民間軍事会社を立ちあげようと考えている友人からシリアに行かないかと誘われる。そして、アメリカ合衆国ネバダ州の空軍基地に勤務する妊娠6カ月のアメリアは、軍の機密をめぐって夫と夫婦の危機を迎えていた。やがて三人の若者の運命は内戦中のシリアの砂漠で交錯する。
『世の中は間違いに満ちていて、いつだって僕はそれを黙って見過ごす』
脚本家志望の雅也は大学を卒業後、交際相手の律子が一人暮らしをしている古い一軒家に転がり、込み何をするでもない毎日を過ごしてた。ところがある朝、律子から突然に別れを切りだされる。東京に就職が決まり引っ越すというのだ。そんな折、一軒家の持ち主である律子の祖母がやって来る。律子の父親の住む名古屋から家出をしてきたらしい。なりゆきで三人は夕食を囲むが、やがて祖母が認知症を患っていることがわかる。