外は寒すぎる。
風は強すぎる。
僕は弱すぎる。
外気が肌を切り刻んで骨を削っていく。
朝にも夜にもならない凍った荒野に
誰かが立っている。
立っているように見える。
あれはきっと人などではなくただの傷跡だ。
ぽつりと残された痕だ。
残痕だ。
だけどあれもそのうち消えるだろう。
そんなことはどうでもいい。
忙しいからどうでもいい!
弱すぎる僕は部屋の中にイグルーを建てて
外気から身を守ってパーフェクト。
最強パソコンと最強携帯電話があるから
他に何も必要ない。
最速パソコンとハイスペック携帯電話を触るのに忙しいから
そんなどうでもいいことを考えてる暇などない。
何かを考えてる暇などない。
考えないといけないようなことは
彼女に尋ねれば、すぐに教えてくれる。
その間なんと0.4秒。
だからなおさら、
僕は考える必要がなくて助かる。
イグルーの外、部屋の窓の外が
どうなっているかなんて興味がない。
どうせ怖い風が吹き荒んでるに決まってる。
見なくてもわかる。
なんなら彼女に聞いてみる。
「ハイ。確かに外は怖い風が吹き荒んでいます」
この間0・4秒。
パーフェクト。