神の子として生まれたモーツアルト。 人間の争いが絶えないことに絶望する神に対し「私が音楽の力で変えてやります」と自信満々で、下界に降りたモーツァルトであったが・・・。
初めて人間社会の難しさに直面する。
嫉妬やねたみ、そねみ、人間独自の感情にモーツァルトの繊細な心は疲れ果てて行く。
「音楽の力で人間を変える」と豪語してきたモーツァルトだったが、人間社会の現実にすっかり滅入っていく。
しかし、そんなモーツァルトが密かに愛し続けた女性がいた。
それはかの有名なマリー・アントワネットである。
マリーは宮廷内での反マリー派の策略にはまり、フランス国民からひどく恨まれていた。
実際、マリーの豪遊は事実ではあったが、結婚後、7年もの間、夫ルイ16世とセックスレス状態だったストレスによる反動がマリーを深い孤独に追いやっていた。
しかし、互いが唯一ほっとできる空間はヴェルサイユ宮殿のマリーの部屋である。
二人は互いの悩みを打ち明けて行くうちに、やがて愛し合うようになる。
神の子と人間の愛。
マリーは彼の正体を知りながら、愛は深まる一方である。
しかし、平穏な時代は長くは続かなかった。二人は、フランス革命の激動の渦へと巻き込まれていく。