1958年、戦後13年目の東京。
画家を志す三郎は、河西先生や吉やんとともに紙芝居を生業としていた。普及し始めたテレビに押されて苦しい紙芝居からは次々と仲間が去っていき、友人小野からは人形劇に誘われている。三郎は、それまで描いていたギャグ漫画紙芝居ではな
く、本当のことを描くために時代劇『赤目』を描き始める。
——時は江戸、上野沼田領の百姓達は領主信直の圧政に苦しんでいる。妻を殺された松造は復讐を誓う——
小野の劇団員である早苗の協力を得ながらも、やがて紙芝居の限界が訪れる。三郎は紙芝居を続け『赤目』を描き上げられるだろうか。
漫画『赤目』とその作者・白土三平をモデルに、激動の昭和30年代と江戸時代の農民一揆が交錯する物語。もがきながら「本当のこと」を求めて闘う者たちのラストシーンとは。
黒澤世莉と全国から集まった俳優・スタッフの手で、斎藤憐の幻の初期戯曲が半世紀を経てよみがえる!