創立50年を迎える劇団が5年ぶりの公演を終えた。劇団再開に心躍る俳優のミカミ、老役者キヨシ、家を飛び出し成り行きで音響を任されたマコトが、片付け中のロビーでくだを巻いている。そこへ劇団代表のタチバナを訪ねて声優志望の若い女ユリエがやって来る。翻弄される中年タチバナ。彼女の後を追ってきた作家志望の男ゴトウはその様子に憤る。
一行は慰労会と称して山の中の旅館へ向かうが、突然タチバナから劇団解散が伝えられる。揺れ動く思いの劇団員たち、呼応するかのように地面も揺れる。
地震のため動かなくなった電車を離れ、避難所へ向かう人々。公演の世話係をしていた教師の女、その不倫相手オザワもその中にいた。劇団解散が決まり吹っ切れたのか、制作兼俳優のサチコはタチバナの妻で主演女優テンコにずけずけと言葉をかける。一方、弟のマコトについて来たカズコはこの期に及んで入団試験を受けたいと言うが未だセリフすら言えない。
未来と過去の間、行先に迷い不安定な足もと。それぞれの人生がカラまわり、立ち往生している人々の不満がくすぶりだす。
チェーホフが喜劇と称したようなどうしようもない人間たちの満たされぬ想いが暴発するとき、どこかで銃声がなる。