手のひらだけで楽しめる 高校演劇動画コンクール!

小劇場を中心に演劇に特化したオンライン映像配信サービス「観劇三昧」を提供している株式会社ネクステージと、開講20年、全国で10,000人を超える卒業生を輩出しているヒューマンアカデミー・パフォーミングアーツカレッジが、この度、未来の表現者である高校演劇部の方々を対象に、演劇映像の閲覧や講評をもらう「高校演劇 手のひら甲子園2019」を開催します。

劇評家のプロフィール

田代 利之

総合学園ヒューマン
アカデミー顧問

田代 利之

日本大学芸術学部演劇学科卒業後、東京俳優生活協同組合に所属。
俳協俳優養成所(現演劇研究所)教務担当として俳優・声優・タレントの養成に関わる。
俳協ボイスアクターズスタジオを開所させると同時に演劇の現場で演劇企画・制作、舞台美術、舞台監督として中小劇場を中心に活動している。
俳優、声優、ナレーター、DJらが多数所属する東京俳優生活協同組合前理事長、一般社団法人日本声優事業社協議会前理事長。

黒澤 世莉

演出家

黒澤 世莉

2016年までの時間堂の劇団活動を通じ、TGR札幌劇場祭作品賞、佐藤佐吉賞優秀作品賞、演出賞を受賞。
スタニスラフスキーとサンフォードマイズナーを学び、演出家、脚本家、ファシリテーターとして活動。公共劇場や国際プロジェクトとの共同制作など外部演出・台本提供も多数あり。「俳優の魅力を活かすシンプルかつ奥深い演劇」を標榜し、俳優と観客の間に生まれ、瞬間瞬間移ろうものを濃密に描き出す。
俳優指導者としても新国立劇場演劇研修所、円演劇研究所、ENBUゼミ、芸能事務所などで、指導を歴任。高校演劇講評などアウトリーチ活動も積極的に行う。

エントリー作品

山形県立山形東高等学校

旋暈

旋暈(せんうん)

「自分だけの世界」を望み、クラシックに陶酔する少年カイリは、大学で映画サークルに所属している。
周りの人間に気を使いながら日々を送ってきたが、助っ人の新入メンバーであるモリヤの加入により彼の歯車は狂い始める。
カイリは電車で出会った少女ナツキに癒しを求めるようになるが……。(著・山口みちる)

作:
山口みちる・山形東高校演劇部
演出:
山口みちる
キャスト:
小山怜音/青山登和/樋口芳英/田代優都/橘周生/鈴木蒼天/吉野空飛/菅原彩乃/伊藤詩乃/縄夏乃/菅野はるな/山口みちる/栗原瑞季/齋藤瑛/春日虹輝/加藤里子/熊谷愛香/齋藤愛華/高橋萌映/高橋若葉
スタッフ:
舞台監督:縄夏乃/音響操作:藤田日和/照明操作:高橋優月/装置:青山登和・樋口芳英・菅原彩乃・高橋萌映・菅野はるな・橘周生・藤田日和・吉野空飛/音響:小山怜音・栗原瑞季・齋藤瑛・高橋若葉/照明:山口みちる・田代優都・高橋優月・鈴木蒼天・加藤里子/衣装:縄夏乃・伊藤詩乃・春日虹輝・熊谷愛香・齋藤愛華
山形県立山形東高等学校

山形県立山形東高等学校演劇部プロフィール

今回の「旋暈(せんうん)」は、昨年「まちかどの巣窟」で出品した生徒たちが、今年も生徒脚本に取り組み、県の優秀賞を受賞した大会作品です。山形東高校演劇部は近年、思い描く世界を自分たちの言葉で脚本にして大会に臨んでいます。脚本の創作や演技はもちろんですが、装置・音響・照明・衣装等スタッフにも皆全力を尽くし、いつも新しい発想で演劇を楽しんでいます。平成30年度長野県上田市で行われた全国大会で、「ガブリエラ黙示録」(作/奥山諒太郎・山形東高校演劇部)のキャストや照明・音響操作、スタッフでも大活躍した生徒たちが創った作品ですので、是非ご覧ください。

田代 利之

生徒のオリジナル作品であり、演出、出演もこなしているところは評価に値する。それを踏まえ評価する点をいくつか...

・台本の構成が、よく考えられておりうまくまとまっている。(カイリとレンの対比、ナツキの存在等。)
・無音で幕を開け、主人公が登場しクラシック音楽が突如流れ始めるという演出は観客を惹きつける上で効果的であると思う。
・作品作りの相対的なパワーとまとまりを感じる。
・人物紹介、部活内での議論シーンにおいて、セリフのやりとりに頼ることなく演出的な工夫が見られた。
・シンプルな舞台装置をスピーディーに転換して場面チェンジをしている点は面白いと感じたが、全編を通してその手法を使った方がよりまとまりがあったと思う。例えば全てを明転で進行するなど。

一考すべき点として…

・構成舞台による進行をよりスピーディーにするために全ての転換を明転にて展開するのはどうか。
・アンサンブルシーンにおいて、無音の芝居をどう整理するか。照明を主役に絞り込む、あるいは緩やかな動きにするなど。
・今回の主題でもあるクラシック音楽の使い方だが、オペレーションを含めその扱いには繊細さが求められる。

少しの手直しを加えながら成熟させたところを観てみたい作品であった。

黒澤 世莉

昨年に引き続きの参加校です。作家演出家が代替わりして、ドタバタコメディからドラマになりました。俳優たちの演技にも昨年からの成長を感じました。基本的に良く出来ていると思いますので、台本と演出についてよりよくできる点を考えてみます。

1:主人公の心象風景を群舞で表すというアイディアは面白いと思います。ただそのシーンが本当に効果的かと言えば、もうひとつ効果が薄いと思います。理由はふたつ、動機と品質です。
動機については、主人公が音楽を本当に好きな気持ちを取り戻した、というラストに向かっているのだと捉えましたが、そうだとすれば最初と最後のシーンの差が少ないです。もっと葛藤した状態を差し挟むなどが必要でしょう。
品質については、群舞パートのダンスの質を向上させたいです。群舞が上手になれば、ずっとシーンとしての魅力が上がるでしょう。

2:主に部活のメンバーについて、人物造形が戯画化されていることは、選択としては面白くできていると思います。ただ、演劇部役は完璧すぎる役柄になっています。主人公が葛藤を乗り越える協力者ならば、弱い部分を描いたほうがより観客の共感を得られると思います。

3:架空の少女をつくるというアイディアは、面白く仕上げるのが難しい選択かと思います。主人公のドラマは電車のシーンが無くても十分作れるし、観てみたいなと思いました。山口みちるさんであればそれが可能だと思います。

山梨県立上野原高等学校

ストラタ

ストラタ

ある日、子どもの交通死亡事故が起きた。加害者の男にはその日、子どもが生まれた。なんとか自分達や生まれてきた子どもを守りたい家族。変わらない信号を待っている女がその家族の様子を見つめる。異なる正義と不正義、公平と不公平、自分という存在の多面性、そんな日常の世界を描いた、不条理、ナンセンス喜劇。

作:
一十口裏(上野原高等学校演劇部潤色)
演出:
上野原高等学校演劇部
キャスト:
石井日向子/安藤嶺冬/小俣彩美/山嵜春佳/石井美晴/藤本輝平
スタッフ:
照明:吉村奎亮/音響:藤本輝平・石井日向子・小俣彩美
山梨県立上野原高等学校 演劇部

山梨県立上野原高等学校演劇部プロフィール

山梨県立上野原高等学校は、現在2年生4名、1年生3名の計7名で活動しています。そのうちスタッフが1名なため、今年度は、キャストも音響をやりながら、かつ1人2、3役やります。今回は不条理演劇、ナンセンス喜劇に向き合い、挑戦しました。

田代 利之

とにかくシュールな作品である。
このような難解な作品に取り組もうとしたこと、そして上演作品に仕上げたことは驚きである。
高校生の趣向と理解力は、想像以上と言えるのではないだろうか。
多少の差異はあるものの相対的に演技力の高さを感じる。
これは、日々の活動内容の質の高さによるものであろうと想像できる。
装置で区切るなどして、もう少し濃密な空間作りをした方がこの作品には向いているように思えた。
舞台空間が少し大きすぎるため、希薄な印象を受けた。
昨今の演劇公演でも映像の使用が多様化しているが、静止画・動画を含め、その使い方には画像の選択や製作に注意工夫が必要である。
このような難解な作品にチャレンジしていくとともに、様々な作品に今後も取り組んでいってもらいたいと思う。

黒澤 世莉

交通事故を起こした男性とその家族が巻き起こす不条理劇。不条理劇に挑戦する勇敢さは素敵ですね。不条理劇は、社会の問題をドラマ(この場合は物語という意味です)演劇とは違う角度であぶりだし、観客に思考を促します。

1:戯曲の読み解き方について、真面目に取り組んでいらっしゃったのでお話はよく分かりました。もったいないのは、真面目に演じすぎてしまっていることです。この場合の真面目とは、社会問題を取り扱っているがゆえに、ギャグやシュールなどの笑いの部分でふざけてはいけない雰囲気になっている、という意味です。
不条理劇は笑わせて観客の心にスキを作り、そのスキに鋭い社会問題を投げかけるものです。そこまで読解できると演劇づくりが面白くなります。笑いを大事にしてみてください。

2:空間をゆがませる映像、舞台奥に向かっていく横断歩道や宙に浮かぶ自転車の美術など、こだわりが感じられてよかったです。不条理劇は抽象的な概念をどう具体的な物や見え方に落とし込めるかが面白いところなので、さらに視覚的、音響的な効果を追加しても面白いかなと思います。たとえば、汚染地域になってしまうことを踏まえて、その状態をイメージさせる廃棄物が配置されるなどしても面白いかなと思います。

3:お母さん役の方がしっかりと演じられていました。他のみなさんも、言葉がはっきり届いてきましたが、お母さん役の方は「役柄としてその場で瞬間瞬間を生きている」と感じました。みんなで彼女の工夫を共有したり、どうしたらそのように演じられるのか考えてみることは、全体の成長に役立つと思います。

山梨県北杜市立甲陵高等学校

ノラとクロ

ノラとクロ

叔母のもとに疎開してきた久子は、狼の血を引くという川上犬の仔犬に出会う。茶色い仔犬だったが、ある思いから「クロ」と名付けた。家に訪れてはクロの餌をくすね取る野良犬の「ノラ」は、この世で生きる術を教えてクロを可愛がる。しかし時代は戦中。飼い犬達は皆、兵士たちが着る軍服用の毛皮としてお国に「供出」されることとなった。

作:
入山実(顧問)
キャスト:
松野優花/堀内颯/緑川琴音/加藤葉月/鈴木佑奈/川舩妃世/小川絢子/相田杏実
スタッフ:
音響:田中佑弥/照明:山瀬茉莉・持留光
山梨県北杜市立甲陵高等学校 演劇部

山梨県北杜市立甲陵高等学校演劇部プロフィール

2010年創部で現在9年目。2013年春季全国大会出場以降、ほぼ毎年県大会に出場し、昨年度は関東大会で「ただいま」を上演しました。学園祭など大会以外では、劇団の台本や全編ダンスの作品を扱うなど、幅広いジャンルに取り組んできました。兼部や習い事をしている部員も多くて活動日は少なめですが、その分演劇以外の特技を持ったメンバーが多いです。部員数は1~2年生男子1名女子11名です。

田代 利之

戦時中の史実に基づいた作品である。
それえゆえ、作者の思いや内容の深みを感じる。
生徒たちも台本を読み解く上で当時の事柄を勉強し、心を痛めながら稽古に臨んだということが十分に想像できる。
戦争のない現在と当時の日本をどのように捉えたのだろうかと思いながら観劇した。
空間設定を具体的にしたために、逆に混乱する場面が存在してしまったように思う。
観客の想像に任せた抽象的な空間作りをした方が良かったのではないだろうか。
映像については、思った以上に強いインパクトを与えるものなので、慎重に扱った方が良い効果が生まれる。
それぞれに、ある感性と演技力を持ち合わせていると思う。
今後もこのような史実に基づいた作品を観てみたいと思った。

黒澤 世莉

太平洋戦争中、山梨県で起こった飼い犬にまつわる事実を演劇化した作品です。演劇は映像と比較して、観客に対して物語を「鑑賞」を超えた「経験」として伝える力を持っています。こういった題材は、戦争や平和に関して考える切っ掛けとして有効だと感じました。

1:映像や衣裳、舞台美術など、視覚効果にこだわりを感じました。昭和十年代後半の雰囲気が出せたと思います。そこで気になるのは、小道具の選択です。鎖やエサなどを無対象行動(実際の物を使わず、身体だけで物を表現すること)で表現していますが、ここまで物を使うのであれば、すべて小道具を用意したほうがいいと思います。

2:上級生たちのセリフや、犬を演じる演技など、とても伝わりやすいなと感じました。一方で声が聞き取りにくい俳優さんもいらっしゃったので、こつこつ練習してください。声は必ず大きく出来ます。
上級生たちは、セリフや動きは上手にできるので、次のステップに進みましょう。「対話」つまりその場で生きている人間(や犬)がその瞬間瞬間感じたことを発しているんだ、という状態をつくるため、どんな練習をしたらいいのか、考えてみてほしいです。言い方を工夫するのではなく、いかに聴くのかを工夫すると、演技は格段に上手になります。

3:最初にプロローグが入りますが、本当に効果的かどうかというと、検討の余地があると思います。今回の場合、現代の情景で戦中の時代を挟む構造のほうが美しくなるのではないでしょうか。プロローグやエピローグは蛇足になりがちですので、カットする勇気を持って作品を締まったものにしてください。

千葉県立成田国際高等学校

冬劇祭

冬劇祭

3人劇です。当日役者が休みました。2人しかいません。どうしたらいいですか。

作:
ひげむら
キャスト:
飯岡亜衣/鈴木千尋/簗島暖乃/アリアナ・リード
千葉県立成田国際高等学校 演劇部

千葉県立成田国際高等学校演劇部プロフィール

1年生だけで活動しています。

田代 利之

ほぼ二人芝居である。しかも1年生のみで構成されているとのこと。
20分強という時間が短いか長いか…ということは別として舞台上で集中していくということは至難の技である。
それを経験したことは、財産であろうと思う。
少人数で構成する場合、多人数の場合に比べパワー不足を感じさせてしまうのは弱点に他ならない。
そういう意味では、脚本選びは重要になってくる。
話がドラマチックかつ観客にも共感してもらえる内容であった方が、観客を巻き込んで暖かい空間づくりができる。
その辺のところを、今後の課題として取り組んでいくことで成長していくことができると思う。

黒澤 世莉

1年生だけの公演ということで、大変なこともあったかと思いますが、無事に公演ができてなによりですね。演劇の幕が下りるまでにはたくさんの苦労がありますので、何年続けていても、無事に終われることが奇跡だなと思うときがあります。
成田国際高校のみなさんには、演劇初心者が上手になるための工夫をお伝えします。これからも楽しく練習してどんどん上手になってください。

1:高校の演劇部に限らず、初心者が演劇公演をつくる際、一番気をつけたいのが台本の選び方です。初心者が面白い台本を、脚本ダウンロードサービスから選ぶのは難しいです。良い台本と出会うために、図書館なども活用してできるだけたくさんの台本を読むことをお勧めします。観劇三昧でも高校生に向けた台本を提供しているページがあります。

2:演技が上手になるためには、発声練習やダンスなど、声や身体を使う練習をコツコツ続けることが大切です。ただ、教えてくれる方が近くにいない場合もあるでしょう。その場合は、プロの演劇を観て真似することが近道かなと思います。可能な限りたくさん観るのが大切です。気になっている演劇公演に足を運ぶことをお勧めします。お金も時間もないよ、という場合には、観劇三昧でも無料で観られる演劇映像があります。

劇場で観劇することが一番ですが、都合に応じて映像と使い分けて、たくさんの作品に触れてください。

岡山学芸館高等学校

ブタを飼う

ブタを飼う

学校を辞めて農産法人に就職した女の子カホの物語です。顧問の柳先生が、実際に農産法人で働いていた経験を活かして創作しました。舞台装置はほとんどありません。役者は人物としてだけでなく、装置としても舞台に存在します。細かな音も私たちの口で表現します。人工的なセットに頼るのではなく、己の肉体でほぼすべての背景を形作ります。また、今回の劇では場面転換に集団行動を用いており、暗転を行いません。物語の流れを途切れさせずに場転を行えるよう工夫しています。

脚本:
柳 雅之
演出:
山地楓太
キャスト:
池田果穂/春名高歩/石原明佳/松下巧/谷平絵梨/妹尾歩美/太田雄翔/髙林双葉/東範那/直原由依/久重龍雅/黒瀬彰斗/砂崎京子/大窄達哉/山本香乃/山根春花/宮本祥
スタッフ:
風早美結/原田菜穂/川西佳奈慧/中島颯哉
岡山学芸館高等学校 演劇部

岡山学芸館高等学校演劇部プロフィール

岡山学芸館高校演劇部は、役者17人・裏方5人の計22人で活動しています(中国大会出場時)。顧問の柳先生は、中学時代から演劇に携わっていて、脚本を担当してくださっています。私たちの普段の様子や、お題に沿って演じる即興劇をベースとした当て書きで、役に入り込みやすいです。基本的に稽古時間は放課後の1時間。大会が近づくと、土日を使ってたっぷり演出を入れたり、通し稽古をします。モットーは、「お客様も私たちも感動する舞台」。上演後に頂く拍手の喜びを仲間と分かち合い、力としています。

田代 利之

無駄なものを一切省いたシンプルな舞台である。
主役カホ以外は、アンサンブル的な意味合いでその舞台を埋めていくという非常に効果的な演出である。
そして最低限の小道具等を使いシーンを再現し、効果音なども全て音響に頼ることなく生徒たちの声や息の音などで表現されている。
どれをとっても、丁寧に表現されていると思う。
この素劇的な手法は、日々の訓練の成果に他ならない。
観客に考えさせるという意味合いがあるのであろうが、学校生活でのカホの葛藤がもう少し具体的にハッキリと描かれた方がより観客側にストレートに伝わるものがあったのではないだろうか。
また素劇という手法の中では、人的SEとライティングにおけるシーンチェンジは、より繊細に行われた方が良いと思う。
いくつかのシーンでその辺が少しもったいないような印象を受けた。

顧問の先生が脚本を手がけるという恵まれた環境の中、これからも丁寧な作品作りに期待をしたい。

黒澤 世莉

昨年の「魚つきの森」に続いてのご参加です。昨年に続き今回の「ブタを飼う」も見応えのある作品でした。
台本、演技、スタッフワーク、総合的に品質が高い作品だと感じました。何が品質の高さにつながっているのか、より高みを目指すためにどんな工夫ができるのか、考えてみましょう。

1:柳先生が書かれた台本は、しっかりとした人間ドラマがあり、一方でくすりとさせる笑いや奥行きのあるテーマを内包しています。いじめだけでなく少女買春のことに踏み込んでいることも意気を感じますし、描き方が直接的なセリフでの説明ではなく、情景から浮かび上がらせている技術力も高いです。ここまで書ける方であれば、カホがいかにして過去を乗り越えるに到ったのか、いまは点描の並列の中でそうなったという表現になっていますが、乗り越える瞬間こそを観せてほしいです。

2:豚小屋から軽トラックまで、身体と動きと声で行う集団での情景づくりは岡山学芸館の真骨頂で、楽しく拝見しました。基本的な技術は高いので「止まる」「呼吸を合わせる」の地味な部分によりこだわってほしいです。神は細部にやどります。

3:一つの曲を様々編曲の上で使う手法は上手です。一方でジブリ作品の使用楽曲の印象はどうしても強く、作品に余計な印象を与えていると感じます。例えばそれを逆手に取って反証するような使い方であれば面白いのですが、そういう工夫でないならば、有名作品の主題歌は避けた方が良いと思います。

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